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「市民電力こがねい」をめざす会、第一回勉強会

9/14(土曜日)、環境楽習館に於いて「市民電力こがねい」をめざす会、が第一回の勉強会を開催しました。TTKメンバーも数名参加しています。
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NPOこだいらソーラーを立ち上げた都甲公子さんをお招きして、設立の経緯や課題の克服などについてのお話をお聞きしました。
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都甲さんは10年も前にドイツのシェーナウにも訪れたことがあり、市民電力のパイオニアの一人です。
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具体的な設立の経緯や苦労話、市民電力同士の連携など、今後の展望も含めて詳細で力強いビジョンをお聞かせくださいました。
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NPOこだいらソーラー
http://kodairasolar.wordpress.com/

「市民電力こがねい」をめざす会 学習会記録 (資料作成:2013.9.19 by 大柴)

■学習会概要

○タイトル:「市民電力を立ち上げるために」

○日時:2013年9月14日(土)14:00~16:30

○場所:環境学習館

○講師:NPO法人「こだいらソーラー」理事長・都甲公子氏

○参加人数:22名

■学習会の内容

1.都甲さんからのプレゼンテーション

 以下4点について、都甲さんよりお話をいただいた。

①こだいらソーラー市民発電所ができるまで

 ・1998年に上水発電所を生活クラブの仲間と設立。

・2008年に「広がる広がる太陽光発電」を出版。

・3.11後、小平環境の会、生活者ネットなど、こだいらでエネシフトを実現したい人たちが集まる。

・2012年10月に「NPO法人こだいらソーラー」を設立。

②太陽光発電の基礎知識

  ・太陽光発電のメリットとして、「クリーンな電気」「枯渇しないエネルギー」「設置場所を選ばない」「非常用電源として活用可能(自立運転機能)」といった点を挙げられた。

③太陽光発電をめぐる情勢・動向

○固定価格買取制度の動向

・固定価格買取制度がスタートし、市民電力の活動も広まった。

・太陽光発電の導入量は日本が世界一だった。1994年から補助制度を開始したものの2005年に撤廃。

・2009年の洞爺湖サミットをきっかけに補助金制度が復活。(1kw=7万円)

・麻生元総理の時に、太陽光発電のみ固定買取制度が開始。

・民主党時代に、その他のエネルギーでの固定買取制度が開始。

○余剰買取と全量買取

・余剰買取は、節電意識は高まる。

・全量買取は、発電量に応じて売電することになるため、正しい発電量を図る設備投資が必要になる。

④爆発的な普及の実現に向けての課題

 ・制度、技術、市民出資の壁という3点について挙げている。

  ・市民出資について、「寄付」「市民ファンド」「資金回収業者」「銀行出資の可能性」「市民バンクからの融資」「疑似私募債」など、多様な可能性を挙げられたが、広く出資者を募りたいし、金融証券取引法などの法律の問題も壁となり、ピッタリくる方法は見つけられていない。

その他、世田谷や多摩、江戸川区での市民共同発電の取組みが紹介された。

2.質疑応答 ※Q):質問内容、A):都甲さんの回答

○農地での設置の可能性

Q) 小平は農家が多いため農地を活用する可能性はないか。情報提供として、イチゴ農家がビニールハウスに太陽光パネルを設置し、ハウスの開け閉めの電力にしている。

A)ソフトバンクでは「電田プロジェクト」を提案している。休耕田を活用するということだが、農地を農地で無くすることはいかがなものだろうか。

現状では、「ソーラーシェアリング」という農地の上に支柱を設置し、その上に太陽光パネルを付ける方法が考えられている。作物の生育条件も悪くならず農家にとっても良いもの。発電と農業の関係がWin-Winになる方法として注目されている。

また、これまでの農地法では、このソーラーシェアリングも農地転用する必要があったが、2013年3月に農林水産省が、この支柱部分のみ農地転用する必要は無いとしている。

そのため、小平でも広めていきたいと思っている。ただ、農家の方も農地の上に他のものを置くことに戸惑っているので、今後も、農家の方とともに勉強していきたいと思っている。

○太陽光パネルの設置は広まっているのか

Q) 中央線沿いの住宅の屋根を見ても、あまり太陽光パネルを設置している家を見かけない。補助金が出ている地域においては、一般家庭3kw前後で約100万円。この資金集めが大変かと思う。返済期間について、10年という期間も問題はないか。

A)まだ太陽光パネルを設置している家庭は少ないと思うが、少しずつ見られるようになってきたのではないか。返済期間10年というのは、長いでしょうか。

Q) どの製品が良いのか、どの業者を選択すべきなのか分からない。行政で推進している業者があるのか。

A) 行政は特定の業者を推進することが難しい。神奈川県では、県で考えたスペックに沿って事業者から提案を受け、それを県で審査し、その結果を公開し市民に選択させる、という方法をとっている。
また、相談窓口が設置されるような政策があると良いと思う。太陽光発電協会には、相談窓口を設置している。

○小金井市の動き

Q) 小金井市では、2010年に61件、2011年に116件、2012年に101件、計278件が市の補助金で太陽光パネルを設置している。その他、公共施設に設置されている。設置されている太陽光パネルの総量がいくつか分かる資料を提供するよう市に申請をしている。その資料を元に、目標を決めて取り組んでいきたい。

A)小金井市で設置された278件は東京都の補助金も使っていると思う。総量に関する情報は、東京電力が公開しないので、なかなか正確な情報が得られない。

○新たな設置場所を探す方法について

Q) 新規の屋根探しはどのように進めているのか。

A)ケースバイケースで、直接話に伺いに行くこともあるし、幼稚園等の場合は行政を通して話を進めることもある。

○メンテナンスについて

Q) メンテナンスで思わぬことや大変だったことはあるか。

A)もともと可動部分がないので壊れにくいと言われている。炎天下などで配線が断絶することはあ
り得る。太陽光パネルが普及した歴史は短いが、この点は昔も今も変わらない。
故障しているかどうかは、発電量を見張ることが大事。予測発電量を計算するためには専門家が必要だが、発電量が隣の人と比べて落ちている、といったことで故障していることが分かる。
メンテナンスフリーは嘘ではないが、発電量を確認することは重要である。

Q) 最近、雷が多いが落ちやすくなるなど、影響はあるか。

A)雷が落ちてショートする可能性はあるが、落ちやすくなることはない。

Q) 故障したときの保険はあるのか。

A)各メーカーの出力保障はある。しかし、火事や地震は、災害保険に別途かける必要がある。

○自然エネルギーへの小平市や市民の意識について

Q) 小平市の市民の意識は、「こだいらソーラー」の試みに歩み寄ってきているか。市との連携の可能性は高まっているのか。雷の影響で壊れた例はすぐに修理できるレベルだったのか。

A)小平市では、市民と一緒にやるという感じはない。市との連携については、「こだいらソーラー」の普及啓発のため講演会やパンフレット、寄付に関して提案をした。まだ一緒に発電所をつくる、という話にはなっていないが、今後呼びかけたいと思っている。

雷による故障は、パネルまで故障してしまった報告は知らない。10年間見守ってきた活動の中でパネルが故障したこともあったが、発電データを付けていることで検地できるので、発電データを付けることを勧めている。

○小金井市の環境施策の取組みについて

小金井市では、環境施策を見直す時期にきており、今後、自然エネルギーに関する項目に省エネとエネルギーの生産の視点が盛り込まれることになると思う。

○オフグリットの仕組みも併用して考えるべきか

Q) 藤野電力というところでは、3.11をきっかけに蓄電池を設置したオフグリット型を推進している。売電するだけでは自分で使っている感じになれないので、オフグリットのもので使用する仕組みも併設すると良いと思った。

A)3.11以降、停電になっても賄うことができる蓄電池への意識も高まっている。しかし、蓄電することの負担と費用、バッテリー寿命などの問題もあり、それらの技術の進歩に合わせて蓄電池に関しても視野に入れてやっていきたい。

○普及させるためには、リスクマネージメントの確立も必要ではないか

Q) 市民のお金が集まらない前に、設置する屋根が見つからないことの方が問題だと思う。「こだいらソーラー」はボランティア的な視点だが、メーカー等との競争はあるのか。

A)市民から「どうぞ使ってください」と言っていただくには、かなりハードルが高いことは間違いない。関係者との合意形成も難しい。ただ、メーカー等との競争はしていないと思う。

Q) 地震が来ると言われているが、地震が起きた時は、どのような対応をとるのか。また、すべて壊れてしまったときのリスクマネージメントを教えてほしい。

A)耐震の診断はさせてもらっている。災害時に停電になった際は、屋根を貸してもらったオーナーを優先に電気を使うことができるようにしている。全て壊れてしまったときは、保険でカバーするしかないと思う。ただ、保険会社もまちまちで、保険の対象になるかどうか確立されていない。

太陽光パネルは壊れても光があると発電するので、地震などで崩れて落ちているパネルに触ると危険であることも考えられる。

以上
by ttkoganei | 2013-09-15 14:01 | イベント報告
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